肺がんの検査―50~80歳で喫煙歴があれば[USPSTF2021]

喫煙にCT

内科医の3Dナカノです。今日はUSPSTFから2021年3月に推奨が出た、喫煙歴のある50~80歳のひとは肺がんのスクリーニングを検討しましょうというお話です

USPSTFについてはこちらをご覧ください

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目次

本日の結論:

50~80歳で禁煙後15年以内のひと、
または現役の喫煙者(目安は毎日1箱20年間)は、
肺がんの低線量CT(LDCT)検査を検討しましょう

結論のもとになったUSPSTF推奨:

50~80歳のひとで、

20パックイヤー以上喫煙したことがあり、

現在喫煙中または禁煙をして15年以内なら、

毎年のスクリーニングをする(推奨度B)

USPSTF

言葉の解説をします

1パックイヤーとは、

1箱20本のタバコを毎日1年間消費し続けることをいいます
20パックイヤーは毎日2箱10年間ないし、毎日1箱20年間喫煙したことを指します

肺がんのスクリーニングとは、

  1. 検査を受けるかどうかの判断に、検査の有益性・限界・有害性の説明をうける
  2. 検査を受ける場合は、低線量CT(LDCT)の豊富な経験のある施設にいく
  3. 現役の喫煙者の場合には、禁煙への介入を受ける

が推奨されています

CTスキャンの検査機器の様子
CCC4.0 BY-SA

検査の有益性・限界・有害性の説明内容はの大枠は次のようになります

  • 肺の影がみつかっても時には偽陽性の(がんじゃない)場合がある
  • 病気がうたがわしい場合、呼吸器内科に受診して、気管支鏡検査や手術などが必要になる
  • もし追加の検査や手術などを希望しないなら検査自体をしない選択もある
  • 検査で被爆する量は通常1mSv・15年間毎年おこなうと合計15mSv
    • 【参考】日本の自然被爆量は毎年2.1mSv (世界平均2.4mSv)
検査結果の一例
CCC4.0 BY-SA

スクリーニングはどのくらいおきに?

  • 禁煙後15年まで、毎年低線量CT検査を継続することが推奨されています
  • ほかの病気で余命が宣告されていたり、手術が受けられない全身状態の場合は中止

予防医療における肺CTの費用は、

  • 治療以外の案件は保険診療でカバーされないので、
  • 健康診断のオプションとしてのご利用をオススメします
  • 子育て世代では自治体から禁煙外来の助成が受けられる場合があります

予防医学は一般に保険診療でカバーされていないのですが、一般の健康診断に含まれる胸部レントゲンでわからない情報がCTで検出できる可能性があります。健康診断のオプションなどで低線量CT検査をご検討いただければと思います

肺がん健康診断のまとめ、

さて、50~80歳で禁煙後15年以内のひとまたは現役の喫煙者は肺がんの低線量CT検査を検討しましょうという話はいかがでしたでしょうか
残念ながら喫煙していた過去は15年間残りますが、有効な検査と禁煙によってより元気で長生きできるかもしれません。是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
それでは、次回は禁煙のコツなどについて扱いますのでお楽しみに!

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この記事を書いた人

卒後15〜20年の病院内科医のナカノです。資格は医師・総合内科専門医・リウマチ専門医・アレルギー専門医(内科)・博士(医学)です。現在はアメリカのワシントンDC郊外の研究所で研究者として働いてます。
暮らしに役立つ知恵や皆さんの健康に寄与する情報を発信していければと考えています。

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