内科医の3Dナカノです。今日はUSPSTFから2021年4月に推奨が出た、成人には高血圧のスクリーニングをしましょうというお話です
USPSTFにのグレード分類ついてはこちらをご覧ください。当Blogの健康診断推奨のまとめは以下になります
本日の結論:
健康診断などで血圧が高いといわれたら、血圧計を購入して、
普段から血圧の上が135・下が85以上なら平日の内科外来の受診をご検討ください
結論のもとになったUSPSTF推奨は次のとおりです
18歳以上の成人には高血圧のスクリーニングをする(推奨度A)
医療期間外での血圧測定してから治療を検討する
USPSTF
言葉の解説をします
血圧とは、
通常二の腕(上腕)の周りに機器を装着して測定される数値です
例えば「140/90」と書かれたり、「140の90」などのように2つの数字が読み上げられますが、最初の数字が上の(または収縮期)血圧、2番目の数字が下の(または拡張期)血圧といいます
- 上の(または収縮期)血圧は、心臓が収縮しているときの血圧です
- 下の(または拡張期)血圧は、心臓が弛緩しているときの血圧です
心臓は収縮していないときも水風船のように全身の動脈にテンションがかかっている状態にあるので、「下の血圧」という概念が存在します
医療機関外での血圧測定とは、
・携帯型血圧モニター(ABPM):20~30分毎に12~24時間血圧を想定する方法です。睡眠時や日常生活の中で測定することができます
・家庭血圧モニター(HBPM):在宅時に血圧計で測定する方法です。測定頻度はABPMより低いものの、長期間の記録ができる利点があります
高血圧とは、
- 自宅で 135/85
- 病院で 140/90
を超えている状態を指します。国ごとに少し基準が異なりますが、日本は欧州と一致しています
医療機関 | HBPM | 日中ABPM | 夜間ABPM | |
日本 (JSH 2019) | ≧140/90 | ≧135/85 | ≧135/85 | ≧120/70 |
米国 (ACC/AHA 2017) | ≧130/80 | ≧130/80 | ≧130/80 | ≧110/65 |
欧州 (ESC/ESH 2018) | ≧140/90 | ≧135/85 | ≧135/85 | ≧120/70 |
日本高血圧学会(JSH 2019)
米国心臓病学会(ACC)米国心臓病協会(AHA)
欧州心臓学会(ESC)欧州高血圧学会学会(ESH)
高血圧には通常自覚症状はないですが、放置すると心臓病・脳卒中・腎不全などにつながります
スクリーニングはどのくらいおきに?
・毎年:40歳以上ないしリスクが高いひと
リスクとは:アフリカ系・平時の血圧が高いひと・過体重や肥満のひと
・3~5年毎:18~39歳で、リスクがなし、正常血圧なひと
日本だと健康診断で1年に1~2回測定しているのではないでしょうか
正しく血圧測定するコツは、
- (膀胱が満タンだと血圧が上がるので)事前にトイレに行くこと
- 足が床に平らにつけられる椅子に座る
- カフ(ベルクロのついた測定帯)を地肌に直接巻いた状態で5分間リラックスする
- 測定開始ボタンを押す
- 呼吸は血圧に影響が出るので止めたり深呼吸をせず、努めて日頃と同じようにする
などです
高血圧かもしれないといわれたら、
高血圧には通常自覚症状はないですが、放置すると心臓病・脳卒中・腎不全につながります
健康診断などで血圧が高いといわれたら血圧計を購入して下さい
ナカノは普段血圧が高めの方には血圧手帳をお渡しして週1回でも記録を付けるようお願いしています。医療機関以外で普段から上が135・下が85以上なら平日の内科外来の受診をご検討ください。是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
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