内科医の3Dナカノです。今日はUSPSTFから2020年12月に推奨が出た、感染のリスクがあるひとにB型肝炎ウイルスのスクリーニング検査をしましょうというお話です
USPSTFについてはこちらをご覧ください
本日の結論:
B型肝炎ウイルス(HBV)感染のリスク(HIV陽性者・注射薬物乱用者・男性と性交渉する男性・家族やパートナーにHBV陽性)があったらB型肝炎ウイルスのスクリーニング検査をしましょう!
結論のもとになったUSPSTF推奨:
B型肝炎のリスクが高い青年・成人に、
B型肝炎のスクリーニング検査を行う(推奨度B)
USPSTF
言葉の解説をします
B型肝炎とは、
- B型肝炎ウイルス(HBV)に感染して起こる感染症で、
- まず急性肝炎を発症(熱・だるさ・黄疸など)し、
- 10%程度が慢性肝炎に移行して、
- 更に進行すると肝硬変や肝細胞癌を発症する場合もある病気です
HBVは肝細胞に取り込まれると肝細胞のゲノムにDNAのコピーを残すので、免疫系が弱くなったとき(抗がん剤や免疫抑制剤の使用時など)に劇症肝炎を起こすことが知られます。治療薬はいくつか存在しますが、根本的にはいつ肝細胞から新しくHBVが作られてくるかわからないので、根治は極めて困難です。原則HBVはワクチンによる感染予防が一番大事です
B型肝炎ウイルス感染のリスクとは、
B型肝炎ウイルス(HBV)感染者が2%以上の国の出身者親がHBV感染者が8%以上の国で生まれたひと- HIV陽性者
- 注射薬物乱用者
- 男性と性交渉する男性(MSM)
- 家族やパートナーでHBV感染者がいる
場合を指します
日本のHBV陽性率は1~2%なので、一般的な日本人では最初の2項目は除外でよいと思われます
スクリーニング検査は、
血液検査にHbs抗原という項目が採用されています
スクリーニングはどのくらいおきに?
リスクが有り続ける限り定期的に必要と推奨されています
リスクとは:注射薬物乱用・男性と性交渉する男性など
B型肝炎ウイルスのワクチンは、
- 1986年から母子感染を防ぐための接種、
- 医療関係者など血液に曝露する可能性が高い人の任意接種、
- 2016年から0歳児の定期接種
などの形でこれまで行われてきました
まとめ:
日本では2016年から0歳児のワクチン接種項目に入ってきているので今後感染者が減ることが期待されます。ただし、B型肝炎のワクチンは3回打っても免疫がつかないひともいるので、その場合には感染しないように気をつけて、曝露があった場合抗HBV抗体製剤の予防投与などが必要になります
リスクがある場合には主治医の先生にHbs抗原の検査をしてもらって、是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
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