内科医の3Dナカノです。今日はUSPSTFから2018年11月に推奨が出た、18歳以上の成人で過剰な飲酒がないかチェックしましょうというお話です
USPSTFについては、こちらをご覧ください
当Blogの健康診断の推奨・まとめ記事は、こちらをご覧ください
本日の結論:
18歳以上の成人女性で4杯、男性で5杯以上の飲酒がある場合にはお酒の量を減らすことをオススメします
それが難しければ、精神科に併設されているアルコール外来でカウンセリングやお薬を使うオプションもあります
結論のもとになったUSPSTF推奨:
結論のもとになったUSPSTF推奨:
18歳以上の成人で、
不健康な飲酒がないかスクリーニングして、
簡潔な行動療法(カウンセリング)を提供する(推奨度B)
USPSTF
言葉の解説をします
健康的な酒量は、
- 21~64歳の男性で: 1日で4杯 ないし 1週間で14杯
- 成人女性・65歳以上の男性で:1日で3杯 ないし 1週間で7杯
までと米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)で定義されています
ここでの1杯とは、
- ビール(アルコール度数5%): 約350mL
- ワイン(アルコール度数12%): 約150mL
- 蒸留酒(アルコール度数40%): 約45mL
と定義されています
スクリーニング検査は、
SASQかAUDIT-Cが推奨されています
SASQは、
女性で4杯・男性で5杯以上の機会飲酒があれば、
陽性と判定されます
AUDIT-Cは、
AUDIT-Cは、
+0 | +1 | +2 | +3 | +4 | |
昨年の飲酒頻度: | 一度もない | 月1回 | 月2-4回 | 週2-3回 | 週4回以上 |
1日のお酒の杯数: | 1-2杯 | 3-4杯 | 5-6杯 | 7-9杯 | 10杯以上 |
6杯以上飲んだ頻度: | 一度もない | 月1回以下 | 月1回 | 毎週 | ほぼ毎日 |
の3項目の点数を足して5点以上だと、
アルコール乱用や肝障害が疑われる、と判定されます
行動療法(カウンセリング)とは、
まだUSPSTFでどの方法が一番有効かは結論が出ていないようです
現実的に日本でできることとしては、各地の断酒会に参加することだったり、精神科に併設されているアルコール専門外来を受診することではないかと思います。例えば関東だと久里浜医療センターが有名なプログラムを持っています
アルコール依存症の薬物療法には、
- ノックビン® (ジスルフィラム)
- レグテクト®
などがあります。ジスルフィラムは昔からあるお薬ですが、お酒を飲んだ時に気分が悪くなるような作用(嫌酒効果)があります。お酒じゃなくてジスルフィラムをやめる人が多いと聞いています
レグテクトは2013年に発売されたお薬で、飲酒欲求につながる神経の過剰な興奮を抑える作用があります。アルコール外来の医師のカウンセリングと併用して使用するように定められているので、ナカノには処方経験はありません。でも、有効な選択肢が増えたことは良いことだと思います
まとめ:
さて、今回のアルコール飲み過ぎには注意というお話はいかがでしたでしょうか。レグテクトが使われるようになってもうすぐ10年ですがナカノはしりませんでした。ナカノはお酒を飲むので自分でも文献を読んで勉強になりました。是非お酒は適量を楽しんで健康長寿にお役立てください!
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