内科医の3Dナカノです。今日はUSPSTFから2018年6月に推奨が出た、65歳以上または、閉経後で骨粗鬆症のリスクが高い女性で骨密度の測定をしましょう、というお話です
USPSTFについては、こちらをご覧ください
当Blogの健康診断の推奨・まとめ記事は、こちらをご覧ください
[骨粗鬆症のお話の一覧]
骨粗鬆症診断:USPSTF骨密度測定の推奨 ←この記事
骨粗鬆症治療1:治療の概要
骨粗鬆症治療2:ビスフォスフォネート
骨粗鬆症治療3:プラリア
骨粗鬆症治療4:フォルテオ・テリボン・テリパラチド・テリパラチドの選び方
骨粗鬆症治療5:イベニティ
本日の結論:
65歳以上または、閉経後で骨粗鬆症のリスクが高い女性で、
椎体・大腿骨頚部の骨密度の測定をしましょう!
T-score ー2.5SD以下 (またはYAM 70%以下)なら骨粗鬆症です
結論のもとになったUSPSTF推奨は次のとおりです
65歳以上の女性(推奨度B)、
ないし閉経後でリスクが高い女性で(推奨度B)
骨粗鬆症による骨折を予防するために、骨密度を測定する
USPSTF
言葉の解説をします
骨粗鬆症とは、
年齢を重ねることで骨が折れやすくなる現象を指します
BruceBlaus, CC BY-SA 4.0, 日本語に改変
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons
骨粗鬆症による骨折とは、
立っている状態からの転倒と同じかそれより弱い力で骨折してしまうことです。(交通事故などの強い外力で折れるのではありません)。脆弱性骨折ともよばれています
骨粗鬆症による代表的な骨折部位は、
- 椎体:背骨の圧迫骨折
- 大腿骨頚部:脚の付け根の骨の骨折
- 橈骨:手首の親指側の骨折
- 上腕骨:二の腕の骨折
です
特に椎体と大腿骨頚部は寝たきりや寿命短縮につながるので重要です
(Pixabay License にしたがい一部改変)
骨の強さは、
・骨質:コラーゲンの下地が骨のしなやかさを保つのに大切
・骨密度:リン酸カルシウムがコラーゲンに沈着して骨の強度を保つのに大切
で規定されていますが、現状では骨質を十分根拠のある形で定量化(数値化)できません
骨密度とは、
リン酸カルシウムの量をレントゲン(DXA法)で測定・定量化する方法です
日本ではYAM(若年成人平均)の70%以下で骨粗鬆症と診断されています
ただ、国際的にはT-score -2.5SD以下(若い成人集団の中で偏差値25相当)という基準がもっぱら使われています。ナカノはYAMを診断に使う合理的な理由が見つけられませんが、もしYAMしか測定できない場合は70%を目安にご活用ください
骨密度の測定部位は、
椎体(腰骨)と大腿骨頚部(脚の付け根)をおすすめしています。寝たきりや寿命への影響が大きい部位であるからです。前腕(肘と手首の間)の検査は必ずしも椎体・大腿骨頸部と相関がよくないのでおすすめしていません
骨粗鬆症のリスクとは、
- 親に大腿骨頚部骨折の病歴
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 低体重
などをさします
思春期の骨が成熟する時期に痩せすぎていると早期から骨粗鬆症を発症します
スクリーニングはどのくらいおきに?
最初の検査の4~8年後の再検査が推奨されています
男性は、
骨粗鬆症のリスクが低いので一律にスクリーニング検査を受ける必要性はないと理解されています。ただし、骨折が見られたらなにか別の病気が原因で骨折している場合があるので、それ相応の検査が必要になります。ご興味がありましたらコメントください
まとめ:
65歳以上または、閉経後で骨粗鬆症のリスクが高い女性で骨密度の測定をしましょうというお話はいかがでしたか?是非適正に検査をして健康長寿にお役立てください!
次回は骨粗鬆症の治療の概要を扱います
[骨粗鬆症のお話の一覧]
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骨粗鬆症治療1:治療の概要
骨粗鬆症治療2:ビスフォスフォネート
骨粗鬆症治療3:プラリア
骨粗鬆症治療4:フォルテオ・テリボン・テリパラチド・テリパラチドの選び方
骨粗鬆症治療5:イベニティ
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