内科医の3Dナカノです。今日は骨粗鬆症治療薬のフォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)についてのお話です
[骨粗鬆症のお話の一覧]
骨粗鬆症診断:USPSTF骨密度測定の推奨
骨粗鬆症治療1:治療の概要
骨粗鬆症治療2:ビスフォスフォネート
骨粗鬆症治療3:プラリア
骨粗鬆症治療4:フォルテオ・テリボン・テリパラチド ←この記事・テリパラチドの選び方
骨粗鬆症治療5:イベニティ
本日の結論:
フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)は毎日~毎週の頻度で皮下注射するタイプの骨粗鬆症治療薬で、お値段が超高額です!
背骨中心の重症骨粗鬆症に有効性を発揮する場合もあるものの、人生で24ヶ月しか使えないのでここぞという時に使いたいお薬です
フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)が向いているひと
・他の骨粗鬆症の治療薬使用中に骨折してしまった方
・椎体(背骨)中心の重度の骨粗鬆症の方
・毎日~毎週の注射をしてでも、重度の骨粗鬆症を改善させたい方
フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)が向いていないひと
・何らかの病気で、元々血中カルシウム値が高い方
・大腿骨頚部の骨粗鬆症が重症な方
・尿管結石・腎臓が悪い(慢性腎臓病)方
・骨肉腫のリスクがある方
・経済的な余裕がない方
フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)とは、
ヒト副甲状腺ホルモンという物質の一部を人工的に合成したもので、骨を作る骨芽細胞を元気にする作用があります
フォルテオ®とテリパラチドBS「モチダ」は、
1日1回ご自身で皮下注射するタイプの骨粗鬆症薬で、
1ヶ月あたり23000〜33000円(の2割負担など)、ということで超高額です。
テリボン®とテリパラチド「サワイ」は、
・週1回クリニックで皮下注射してもらう
・週2回ご自身で皮下注射する
という2タイプある骨粗鬆症薬で、
1ヶ月あたり44000〜48000円(の2割負担など)、ということで超高額です。
テリパラチド「サワイ」は、
・週1回クリニックで皮下注射してもらうタイプの骨粗鬆症薬で、
1ヶ月あたり42000円(の2割負担など)、ということで超高額です。
ナカノは病院内科医なので週1回の頻度で来ていただくのはオススメしていません。待ち時間が勿体ないです。ただ、近くの開業医の先生のところで打っていただけるなら検討の価値があるかもしれません
色々な種類・名前が乱立していて選び方が難解なので別記事を作成しました
テリパラチドの用途は、
- 大変に高額で、
- 頻繁に注射が必要で、
- 治療期間は最長で24ヶ月間なので、
漫然と使うのではなくここぞという限られた場合のみ使用されます
・極度に骨粗鬆症が進んでいる場合(T-score -3.5以下)や
・既に骨粗鬆症による骨折(脆弱性骨折)があるケース
・ビスフォスフォネート使用中の新しい椎体圧迫骨折
などで使われることが多いです。
椎体(背骨)に主に効くことが知られているので大腿骨頸部のT-scoreがある程度保たれているケースの方がオススメです
テリパラチドを使ってはいけないひとは、
- 副甲状腺機能亢進症・肉芽腫症・悪性腫瘍などでもともと高カルシウム血症がある
- 骨肉腫のリスクがある(Paget病・がんの骨転移・骨が放射線治療の範囲に含まれている場合)
- 腎臓の機能が悪い(薬の効き目が悪くなるため)
とされているので、治療開始前に主治医の先生にチェックしていただく必要があります
フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)の副作用は、
- 高カルシウム血症:カルシチュウD3の減量の相談が必要
- 尿管結石:尿中にカルシウムが排泄されるため
- 頭痛・気分不良
など、が知られています
フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)終了後は、
何も治療をしないと骨粗鬆症が急激に進行することが知られているので、是非代わりになる治療を主治医の先生と相談してみつけるようにしてください
まとめ:
さて、フォルテオ®・テリボン® (テリパラチド)のお話はいかがでしたでしょうか
うまく使えば一発逆転もありうる薬ですが、値段・頻繁な注射・限られた治療期間・使ってはいけない場合などもあるので、担当の先生とよく相談されてご検討ください
身近に65歳以上の女性がおられたら骨粗鬆症についてお話いただいて、健康長寿にお役立てください!
[骨粗鬆症のお話の一覧]
骨粗鬆症診断:USPSTF骨密度測定の推奨
骨粗鬆症治療1:治療の概要
骨粗鬆症治療2:ビスフォスフォネート
骨粗鬆症治療3:プラリア
骨粗鬆症治療4:フォルテオ・テリボン・テリパラチド ←この記事・テリパラチドの選び方
骨粗鬆症治療5:イベニティ
コメント