新薬は専門家の先生と、賢く使いましょう [内科雑談]

新薬の心配

内科医の3Dナカノです。今日は3Dナカノの新薬に対するスタンスについてお話します
今回の記事はどこかで推奨されている内容ではなく、完全にナカノの個人的な意見です

目次

本日の結論:

薬は正しく使ってこそ、効果が出て副作用も許容できる範囲に収まります
新しく出た薬は何が起こるかわからないので専門家の先生と慎重に使いましょう


治療が可能になった病気

世の中にはありがたいことに研究を通して、今まで治らなかった病気が治るようになるということがしばしばあります
ここ20年位でみても、

  • C型肝炎:ナカノが研修医の頃は命を落とす病気でしたが今は完治します
  • HIV:まだ治癒はしませんが、内服継続でほぼ健常人と同じ生活が送れます
  • リウマチ:治療薬が分子をターゲットするようになって関節破壊が減りました
  • 悪性黒色腫:チェックポイント阻害剤で命が救われたがん患者がたくさんいます

時代は変わったし、今後とも変わり続けると思います

新薬に伴うリスク

一方で、新薬がもたらした悪い影響というのも歴史に数多くのこっています

サリドマイドは、

  • 睡眠薬として1957年に発売されて、
  • その後妊娠中の使用と生まれてきた子供の障害との関係が問題になり、1962年に発売中止
  • サリドマイドは多発性骨髄腫という血液系のがんの治療に有効で、
  • 2014年に再び日本で発売されることになりました

クロロキンは、

  • 1955年にマラリアの治療薬として承認、1958年に腎炎・関節リウマチに適応が拡大され、
  • 網膜症の副作用が問題となり、1976年に製造が中止されました
  • クロロキンはSLE(全身性エリテマトーデス)という難病の治療に極めて重要で、
  • 世界中で使い続けられていたのに、日本では40年間使えませんでした

薬は毒にも薬にもなり得る

  • 使い所を正しくすれば本来有効な薬も、使い方を間違えると大変なことになります
  • 副作用で苦しむ人が出るのは、当然のことながらとても困ります
  • その反対に本来治療できる病気なのに薬の販売を中止せざるを得ないというのも、不幸です
  • いたずらに新薬に飛びつくことは、慎むべきだとナカノは考えております

専門でない領域の新薬は、

  • 3Dナカノは処方しません
  • 5~10年ほど経過してから副作用や効果的な使い道が分かってから、
  • 処方するかどうか検討しています

専門領域(リウマチ・膠原病・アレルギー・骨粗鬆症)の新薬は、

  • 副作用情報の収集やどういうひとにメリットが有るかを明らかにすることは、
  • 専門家としての役割の一つでもあります
  • ナカノは慎重に様子を見ながら、必要な方によく説明してからお出ししています

同効の薬が複数ある使い古された薬の場合は、

  • MR(製薬会社の営業)さんを知っている会社のものを、原則処方するようにしています
  • 新しい安全性情報がいち早く耳に入る可能性が高いからです

実際にあった話ですが、自社の薬でがんが増えたという研究成果が出版されたときにその論文のコピーをもって、病院の各部署を回っておられたMRさんがいました。本当に頭が下がる思いでした

MR(製薬会社の営業)さんとの付き合いは、

ナカノは基本的に苦手です。「お薬で患者さんの状態が良くなってほしい」という気持ちがあって、同じ方向を向いていただいているMRさんには畏敬の念をいだきます。お薬の営業成績だけを気にしているMRさんとは極力お話をしたくありません。いやー、本当にそういう方おられるんですよ・・・

武士が人の斬り方を刀鍛冶に聞くか?

  • という例え話をした先生がいました
  • ナカノは医師が薬の使い方をMRさんにきくのは不適切だと思います
  • 自分で論文を読んだり情報を集められなくなったら、潮どきなので引退を考えるでしょう
  • あと何年、医療現場にいられるかわかりませんが、ナカノは今後の医療の発展が楽しみです

まとめ:

さて、内科医が何を思って薬を処方しているのかというお話でしたがいかがだったでしょうか。是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!

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この記事を書いた人

卒後15〜20年の病院内科医のナカノです。資格は医師・総合内科専門医・リウマチ専門医・アレルギー専門医(内科)・博士(医学)です。現在はアメリカのワシントンDC郊外の研究所で研究者として働いてます。
暮らしに役立つ知恵や皆さんの健康に寄与する情報を発信していければと考えています。

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