内科医の3Dナカノです。ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)2016年の痛風に関する推奨をご紹介します。今日は痛風発作の治療のお話です
当Blogの痛風・高尿酸血症のまとめ記事は以下をご覧下さい
[痛風・高尿酸血症のお話一覧]
診断:痛風の診断
総論:痛風の一般論 (食事・合併症)
治療1:イタイ!痛風発作の治療 ←この記事
治療2:尿酸値を下げる薬(ULT)のはじめ方
治療3:尿酸値を下げる薬(ULT)の選び方
治療4:尿酸値を下げる薬(ULT)開始後の、痛風の治療目標など
本日の結論:
痛風発作を経験したことがある方は、痛みに対する治療をすぐ自分で開始できるように内服薬を確保しましょう
コルヒチン・NSAID・ステロイドなどが自分で内服できる主な候補ですが、使ってはいけない要件があるのでよく担当の先生とご相談されてください
2016年のヨーロッパリウマチ学会(EULAR)推奨:
痛風発作の治療は早ければ早い程よい
予兆があり次第、自分で内服できるように準備するべき
薬は禁忌*・以前の薬の使い心地・発作からの経過時間・関節の個数などに応じて選ぶ
*禁忌とは「使ってはいけない要件」です
EULAR
推奨される第一選択の薬は、
コルヒチン・NSAID・内服ステロイド・関節穿刺 のいずれかである
EULAR
言葉の解説をします
コルヒチンは、
- イヌサフランという植物から抽出された成分で
- 発作12時間以内に、2錠(1mg)内服して1時間後に1錠(0.5mg)追加する方法が
- 推奨されている使い方です
- 主な副作用は胃腸に出て、下痢や吐き気などがよくみられます
P糖蛋白やCYP3A4という酵素によって代謝されるので、シクロスポリンという免疫抑制剤、クラリスロマイシンという抗菌薬、その他の抗ウイルス薬・抗真菌薬・不整脈薬などとの飲み合わせが悪いので医師・薬剤師による飲み合わせチェックが必須です
腎臓が悪い場合(GFR 30以下)は副作用が出やすいので使わないよう推奨されています
NSAIDは、
- 非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)の略で、いわゆる痛み止めです
日本で手に入るものは:
・ロキソニン® (ロキソプロフェン)
・ボルタレン® (ジクロフェナク)
・ナイキサン® (ナプロキセン)
・セレコックス® (セレコキシブ)
・バファリンA® (アスピリン)
・イブ® (イブプロフェン)
・ノーシン® (エテンザミド)
などです (かっこ内は後発(ジェネリック)医薬品名)
NSAIDには胃腸を荒らす作用があって、
消化管出血や潰瘍を起こす可能性があるので、プロトンポンプ阻害剤(オメプラール®・タケプロン®・パリエット®・ネキシウム®・タケキャブ®)を一緒に使う場合があります
腎臓が悪い人でNSAID内服すると、腎臓にとどめを刺してしまう場合があるので使いません
内服ステロイドは、
- 30~35mgを3~5日間というのが推奨されています
ステロイドは長期間使用すると副作用が心配ですが、短期間の内服で起きる可能性があるのは、糖尿病が一時的に悪くなる・胃腸を荒らす・気分の落ち込みまたはハイになるなどに限られます
関節注射は、
- 関節を刺して関節液を吸入して、ステロイドを注射する方法で行います
- 関節が刺せる場所で、かつ発作が1箇所の関節の場合に通常選択肢に入ります
主に整形外科・リウマチ内科の医師で実施していて、どこのお医者さんにかかっても注射してもらえるわけではないという点には注意が必要です
まとめ:
さて、痛風の治療は速やかに、発作の経験があれば内服薬を確保しましょうというお話でしたがいかがだったでしょうか。ナカノも2018年末に足の親指の付け根が痛くて腫れました。最初は捻挫したっけ?って思いましたがまず間違いなく痛風でした。NSAIDを飲みながら足をひきずって仕事をしました。是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
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診断:痛風の診断
総論:痛風の一般論 (食事・合併症)
治療1:イタイ!痛風発作の治療 ←この記事
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治療3:尿酸値を下げる薬(ULT)の選び方
治療4:尿酸値を下げる薬(ULT)開始後の、痛風の治療目標など
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