内科医の3Dナカノです。今日は腎臓が悪い場合の食事をどうするとよいか、というお話です
[慢性腎臓病CKDのお話の一覧]
腎臓病の診断と意義: 尿検査の解釈・慢性腎臓病の診断・重要性
腎臓病の注意点: 食事の注意点 ←この記事・生活の注意点
腎臓病の治療一般論: 血圧の治療・貧血の治療・カルシウム・リン
腎臓病の個別の治療: 腎臓が悪くなる特別な原因がある場合
腎代替療法: なぜ必要か・賢い選び方
本日の結論:
慢性腎臓病(CKD)がある場合には、
・塩分3~6g/日
・蛋白質は0.8~1.0g/体重(kg)/日
・カロリーは25~35kcal/体重(kg)/日
にしてBMI22~23を目指しましょう
(塩・カリウム・蛋白・カロリーは栄養士の相談をオススメします)
KDIGOのガイドライン2012や日本腎臓学会のCKDガイド2012・ガイドライン2018などを参考に、日本人向けに内科医3Dナカノが総合的に慢性腎臓病(CKD)の解説をしていきます
言葉の解説をします
水分は、
過剰摂取や極端な制限はどちらも良くないとされています。自然の喉の乾きに任せて摂ることがおすすめされています
食塩(塩化ナトリウム)は、
- 1日あたり3~6g が推奨されている量です。
日本人は男性で11g・女性で9g (2019年データ・四捨五入)の食塩を摂取していると報告されています。平均の約半分と言うことで、かなり少ないことがご理解いただけると思います。最初は目安ですら難しいでしょう。栄養士による栄養指導をお願いすると一番うまくいくはずです。eGFR60以上(G1~2)で高血圧がない場合は、必ずしも厳しく制限しなくてもよいとされています
カリウム(K)は、
- 腎臓から排泄されるミネラルで、
- CKDでは高カリウム血症になりがちです
- 高カリウム血症は不整脈による突然死の原因になるので危険です
高カリウム血症は心電図異常(心臓の電気活動に異変)が出ている場合には緊急に点滴治療などで対処されます。そうでない場合は内服薬と食事で良くする方法がとられます
カリウムが含まれる食物は、
カリウムは生野菜・果物・海藻・豆・芋などに多く含まれることが知られています
芋は小さく切って茹で、お湯は廃棄する(茹でこぼす)ことでKを減らすことができます。野菜は水にさらしたり茹でこぼすことが推奨されています
食べ物以外の高カリウム血症の原因は、
- NSAIDs(痛み止め)
- レニン・アンジオテンシン系(RAS)に作用する薬
- ACEi/ARB・直接レニン阻害薬・スピロノラクトン・エプレレノンなど
がしられています。お薬の量の調整で良くなる場合もあります
蛋白質は、
主にはお肉の成分です
高蛋白の食事は腎臓に負担がかかるとされるので
G3(eGFR30~60)の場合、0.8~1.0g/体重(kg)/日がオススメの量になります
体重60kgなら1日48~60gということですが、最初は見当がつきにくいと思います。栄養士による栄養指導をお願いすると一番うまくいくはずです。eGFR30以下の場合、より蛋白摂取を制限する場合がありますが、腎臓内科の先生のアドバイスを聞いて対処いただくのがよいと思います
摂取カロリーは、
健常人と同程度でよいとされています
25~35kcal/体重(kg)/日が推奨されていますが、
日常の体の動かし具合(活動度)次第で例えば、デスクワークなら25、肉体労働なら35以上のような使い方でよいと思います。この場合の体重は理想体重が妥当です。身長あたりでBMI 22となる体重です。165cmで中活動度(30kcal/kg)だと大体1800kcalという計算です。こちらも食堂やお弁当を購入する場合は比較的計算が簡単ですが、自炊をしている場合には栄養士にご相談いただくのがベストだと思います
BMI 22の身長・体重・摂取カロリーの相関表
BMI 22の身長・体重・摂取カロリーの相関表は以下のようになります
身長 (cm) | 145 | 150 | 155 | 160 | 165 | 170 | 175 | 180 | 185 |
体重 (kg) | 46 | 50 | 53 | 56 | 60 | 64 | 67 | 71 | 75 |
低活動度 (kcal/日) | 1150 | 1250 | 1300 | 1400 | 1500 | 1600 | 1700 | 1800 | 1900 |
中活動度 (kcal/日) | 1400 | 1500 | 1600 | 1700 | 1800 | 1900 | 2000 | 2150 | 2250 |
高活動度 (kcal/日) | 1600 | 1750 | 1850 | 1950 | 2100 | 2250 | 2350 | 2500 | 2650 |
まとめ:
さて、腎臓が悪い場合の食事お話をしました。食事はかなりひとによって異なる内容なので、一律こうした方がいいですというお話がしにくい分野です。ご自身の価値観に見合った節制が出来るよう、栄養士にご相談頂くことをオススメします。是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
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