内科医の3Dナカノです。今日は慢性腎臓病(CKD)がなぜ大事かというお話です
[慢性腎臓病CKDのお話の一覧]
腎臓病の診断と意義: 尿検査の解釈・慢性腎臓病の診断・重要性 ←この記事
腎臓病の注意点: 食事の注意点・生活の注意点
腎臓病の治療一般論: 血圧の治療・貧血の治療・カルシウム・リン
腎臓病の個別の治療: 腎臓が悪くなる特別な原因がある場合
腎代替療法: なぜ必要か・賢い選び方
本日の結論:
慢性腎臓病(CKD)は、末期腎不全(ESKD)・心血管疾患(CVD)・死亡するリスクが高くなる病気です
CKDがみつかったらCVDを、CVDがみつかったらCKDの評価を受けてください
CKDは決して珍しい病気ではなく、成人人口の13%(1330万人)の人が罹患しています
KDIGOのガイドライン2012や日本腎臓学会のCKDガイド2012・ガイドライン2018などを参考に、日本人向けに内科医3Dナカノが総合的に慢性腎臓病(CKD)の解説をしていきます
言葉の解説をします
末期腎不全(ESKD)とは、
ESKDはEnd Stage Kidney Diseaseの略で、末期腎不全のことです
腎臓の代わりになるような治療、腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)をしないと通常数週~数ヶ月で命を落とす状況です
腎代替療法の詳細は別記事で取り上げたいと思います
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全(ESKD)の予備軍
腎臓が悪くなって腎代替療法が必要になるまでには、必ずCKDの時期を経ています。尿蛋白が(+)以上の例は3.5%程度と少ないです。ただ、GFRが60以下の例を入れると人口の13%、GFRが45以下の例をみても人口の4.5%程度はいて決して珍しい状況ではありません
蛋白尿が増えれば増えるほど、ESKDのリスクは高くなります
蛋白と潜血が両方陽性だと、ESKDのリスクは高くなります(10年で3%透析導入)
心腎連関とは、
慢性腎臓病(CKD)と心臓血管疾患(CVD)の危険因子が共通であり、
CVD患者ではCKDの有無を確認する必要があるし、
CKD患者ではCVDの有無をスクリーニングする必要がある、
という関係にあります
CKDは心血管疾患(CVD)による死亡の危険因子
CKDは末期腎不全(ESKD)になって血液透析導入になるよりも、CVDで死亡するリスクのほうが高いというデータがあります。血液透析をするレベルになると、ほとんどの場合何らかの血管の病気があると考えられています。蛋白尿が増えれば増えるほど、糸球体濾過量(GFR)が下がれば下がるほどCVDが増加することが分かっています
CVDについては以下の記事でまとめているのでご覧になってください
CKDは死亡するリスクを高める危険因子
蛋白尿が増えれば増えるほど、糸球体濾過量(GFR)が下がれば下がるほど死亡する例が増加することが分かっています
まとめ:
さて、今日の慢性腎臓病があると、心臓や血管の病気(CVD)・死亡のリスク・透析が必要な末期腎不全(ESKD)の確率が高くなるというお話はいかがでしたか。今日は怖い話ばかりで恐縮ですが、しっかり予防・治療する方法も今後取り上げていくのでお楽しみに!是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
コメント