このページでは当Blogの慢性腎臓病(CKD)記事の、まとめ部分を掲載しています
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腎臓病の診断と意義: 尿検査の解釈・慢性腎臓病の診断・重要性
腎臓病の注意点: 食事の注意点・生活の注意点
腎臓病の治療一般論: 血圧の治療・貧血の治療・カルシウム・リン
腎臓病の個別の治療: 腎臓が悪くなる特別な原因がある場合
腎代替療法: なぜ必要か・賢い選び方
腎臓病の診断と意義
尿検査の解釈
腎臓病の早期発見に検尿(蛋白尿・血尿)は有効です
糖尿病性腎症の早期発見には、微量アルブミン尿という鋭敏な指標を使います
一日の尿蛋白の概算を調べるのに、蛋白クレアチニン比を使います
慢性腎臓病の診断
慢性腎臓病とは3か月以上のあいだ、
1. 尿・画像・血液・病理で異常があるないし、
2. GFRが60以下、が続く状態です
採血や検尿で腎臓に異常が出た場合、腎臓の病気が疑われます
内科・腎臓内科外来で詳しい原因を調べてもらいましょう
重要性
慢性腎臓病(CKD)は、末期腎不全(ESKD)・心血管疾患(CVD)・死亡するリスクが高くなる病気です
CKDがみつかったらCVDを、CVDがみつかったらCKDの評価を受けてください
CKDは決して珍しい病気ではなく、成人人口の13%(1330万人)の人が罹患しています
腎臓病の注意点
食事の注意点
慢性腎臓病(CKD)がある場合には、
・塩分3~6g/日
・蛋白質は0.8~1.0g/体重(kg)/日
・カロリーは25~35kcal/体重(kg)/日
にしてBMI22~23を目指しましょう
(塩・カリウム・蛋白・カロリーは栄養士の相談をオススメします)
生活の注意点
慢性腎臓病(CKD)がある場合には、
禁煙と節酒に努め、
毎年のインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチン(eGFR 30以下・5年毎)をオススメします
(カルシウム・リンについては別記事で扱います)
腎臓病の治療一般論
血圧の治療
糖尿病合併慢性腎臓病(CKD)・軽度以上の蛋白尿のあるCKDは、ACEi/ARB*を使用します
ACEi/ARBを使用中はeGFR, カリウム(K)を定期的に検査して、
過剰な低血圧(110mmHg未満)・eGFR低下(30%以上)・血清K上昇(5.5mEq/L以上)の場合ACEi/ARBは減量か中止が必要です
*ACEi:アンジオテンシン変換酵素阻害薬 *ARB:アンジオテンシンII受容体拮抗薬
血圧の目標は、
75歳未満 | 75歳以上 | ||
糖尿病(-) | 蛋白尿(-) 蛋白尿(+) | 140/90 130/80 | 150/90 |
糖尿病(+) | 130/80 | 150/90 |
貧血の治療
慢性腎臓病(CKD)のひとの貧血の治療目標はヘモグロビン10~12g/dLです
貧血が悪いと腎臓の寿命・心血管によくない事がわかっています
鉄・ビタミンB12・葉酸が不足している場合は補充をします
腎臓が作る造血物質(エリスロポエチン)が足りない場合は注射で補充します
カルシウム・リン
慢性腎臓病(CKD)のG3a(GFR 60未満)からで骨・ミネラル代謝異常(MBD)が始まります
血清カルシウム(Ca)が低下・血清リン(P)が上昇し、骨が弱くなって動脈硬化が進む状態です
補正カルシウムは8.4~10.0mg/dL、リンは2.5~4.5mg/dLが目標値です
初手はカルシウム製剤や活性型ビタミンDで治療するのが一般的です
腎臓病の個別の治療
慢性腎臓病(CKD)には原因を問わずに効く治療(集学的治療)のほかに、
元の病気を治すことが優先の場合があります
腎代替療法
なぜ必要か
腎代替療法は腎臓が役割を果たさなくなった時の、代わりの治療です
主な自覚症状は、疲労感・不快感・軽いものわすれ・吐き気・食欲不振など
カリウム(K)・水分・酸などの指標が悪い場合に、多くの場合ドクターストップがかかります
血液透析・腹膜透析・腎移植が治療の選択肢です
事前の準備が肝要なので、CKD ステージ5(GFR 15未満)に近づいたら、ご本人・ご家族・医療従事者の間で相談することがとても重要です
賢い選び方
血液透析が向いているひとは、
時間には余裕があって、細かいことは医療者にお任せしたいという方です
腹膜透析が向いているひとは、
几帳面な性格で、ご自身の現在の時間を大切にされたい方です
(生体)腎移植が向いているひとは、
几帳面かつ腎臓以外の問題がほとんどなくて、ご家族の理解がある方です