【2025年版】生物学的製剤まとめ【リウマチ膠原病領域】

内科医の3Dナカノです。2025年春に薬価改定がありました。生物学的製剤・JAK阻害薬など高額なお薬の最新の値段や、使い分けなどがある程度わかるように表にまとめました。

目次

TNF-α阻害薬

主に関節リウマチ・脊椎関節炎などで使用される注射薬で、2003年から使用が開始された歴史の長いお薬です。メトトレキサートを併用すると追加の効果が出やすいという特徴があります。他に眼科疾患のぶどう膜炎・消化器内科の炎症性腸疾患などでも使用されますが、今回の使用方法はリウマチ膠原病領域限定ですのでご留意ください。

一部バイオシミラー(いわゆる後発医薬品)が発売されているものがあり、毎週皮下に打つエタネルセプトより2週に1回皮下に打つアダリムマブが安くなったのが今年の目玉ではないかと思います。

IL-6阻害薬・CTLA-4・メトトレキサート

主にリウマチで使用されるそのほかの注射薬です。TNF-α阻害薬が使用できないケースなどでIL-6やCTLA-4をターゲットにした治療薬が考慮されます。

JAK阻害薬

2013年に最初のものが登場した低分子化合物のお薬で、飲み薬なのに注射のリウマチ薬と同じかそれ以上に有効性が高いと考えられているものです。未だに3割負担で月の薬価が4万円程度と高額であることと、癌や心臓・脳血管(心筋梗塞・脳梗塞)への影響が懸念されていることもあり、限られた方に処方している傾向があります。

IL-12/IL-17/IL-23阻害薬

主に脊椎関節炎・強直性脊椎炎の治療だったり、皮膚科の乾癬という皮膚炎の亜型・消化器内科の炎症性腸疾患に対して使われることが多いお薬です。このお薬もTNF阻害薬よりは値段が高い傾向があり、皮膚科や消化器内科の先生と相談しながら慎重に選ぶことを余儀なくされることが多いです。

その他(CD-20/BLyS/IFN/IL-5)

CD-20は血管炎・全身性エリテマトーデスなどで使用が可能になった、元々B細胞系のリンパ腫(血液のがん)を治療するのに使用されていた薬です。

BLySとIFNは全身性エリテマトーデス専用のお薬です。ベンリスタは2017年に発売されましたが、最近ステロイドの使用量を減らすのに役に立つのではないかと注目を浴びています。

IL-5阻害薬は元々喘息で使用されていたお薬ですが、好酸球というアレルギーを担当している白血球が暴走する膠原病(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)の重症・難治例で使用されます。値段が恐ろしく高いので、難病申請が通っている方などで使用されます。

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この記事を書いた人

卒後15〜20年の病院内科医のナカノです。資格は医師・総合内科専門医・リウマチ専門医・アレルギー専門医(内科)・博士(医学)です。2023年までアメリカの国立衛生研究所(NIH)で研究者として働いてました。現在は総合病院の内科医として地域の皆様の健康増進のお手伝いをしています。
暮らしに役立つ知恵や皆さんの健康に寄与する情報を発信していければと考えています。

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