内科医の3Dナカノです。今日はサプリメント・健康食品はオススメしないというお話をします
※特定の個人・企業を非難することが目的ではなく、医学者・病院内科医としてサプリメント・健康食品についてどう思うか質問された場合の回答をお示しします
本日の結論
一部の例外を除いてサプリメント・健康食品はオススメしません (以下例外)
・妊娠を予定している女性の葉酸
・骨粗鬆症ないしそのリスクがある女性のカルシウム・ビタミンD
サプリメント・健康食品をオススメしない4つの理由
・非表示の薬効成分が混入されている場合がある
・効能・危険性に関する検証が不十分な場合が多い
・処方薬との間の、のみあわせが検証されにくい場合が多い
・本来は、特定の製剤・栄養素に偏らず満遍なく食品を摂取するのがよいため
サプリメント・健康食品は、
- 飲んだひとを長生きさせるのではなく、
- サプリメント・健康食品を作っている会社を長生きさせる効果があると
- 揶揄されることがあります
極端なものだと、処方薬の薬効成分がサプリメントに混入されている場合があります。シルデナフィル・タダラフィルなど、肺高血圧・勃起障害の治療薬の成分を表示せずに、混入されているケースが報告されています。当然その薬を使ってはいけないひとに使われてしまうリスクがあるので、これは完全にアウトです(米国規制当局が違反案件を公開しています)
たとえばコラーゲン・コンドロイチンやプラセンタは、
- 腸管のバリアがあるので、口から摂取してもそのまま体には取り込まれません
- 胃腸から吸収する場合、一回アミノ酸や糖などのバラバラの部品にされる必要があります
- コラーゲン・コンドロイチンなどが必要な場合のみ、アミノ酸から自分の体で作り直します
- アミノ酸はお肉に豊富に含まれるので、お肉を食べていれば別で摂る必要はありません
- 注射する場合は、下手をすると異物だと認識されてアレルギー・免疫反応をおこす可能性があるので、より一層危険だと言えましょう
西洋医学の薬も自然由来のものが多く、
- 柳の樹皮から分離された鎮痛薬:アスピリン
- イヌサフランという植物から分離された痛風治療薬:コルヒチン
- 青カビから分離された抗菌薬:ペニシリン
- ジギタリス(花)から分離された強心剤:ジギタリス
など非常に多岐にわたります
自然由来のものに問題があるのではなく、実際にどの物質がどうして有効なのかを十分に労力をさいて検証していないのが、健康食品の問題といえると思います。西洋医学的には可能な限り有効な薬効成分だけを抽出して、不純物が混じらないように処理されているので、効果や副作用の検証がしやすかったのだと思います
漢方薬は精製を経ていませんが、数百年長い時間をかけて多くの人で検証されて、生き抜いてきたのだと理解しています。ナカノは漢方を処方できませんが、しばしば東洋医学科の先生に患者さんの悩みを解決し、助けてもらいました
お薬が保険診療で承認されるまでには、
- 途方もない費用・時間・労力が投じられ、徹底的に検証を重ねられます
お薬を投与されたひととそうでないひとに、どのような違いが生じるのかということを解明すべく、非常に多くの評価項目を厳密な基準で採点されます。治療を受けるひとと対照群にそれぞれ何人が必要か予め計算をしてのぞみ、ときには効き目がない・安全性に問題があることがわかっても論文として発表されます。このために製薬会社は大量の研究者を雇用し、多額の研究費を投じ、社運をかけて新薬の開発をしています。サプリメント・健康食品で、このような厳格な検証がなされている例を3Dナカノは知りません
健康食品と処方薬にのみあわせの問題がある場合があって、
グレープフルーツジュースにはカルシウム拮抗薬(降圧薬)やスタチン(コレステロール治療薬)の効果を増強する作用が知られます
セイヨウオトギリソウ(St. John’s wort)はCYP3A4という肝臓の酵素の活性を上げることで、レトロウイルス(HIVなど)の治療失敗・臓器移植後の拒絶反応制御失敗・避妊薬が効かなくなった例が報告されています
効かないかもしれないけど少なくとも悪さはしないだろう、という希望は持つべきではないと3Dナカノは思います
[極論] 生きている限り未知の毒物を食べている可能性があるので、
- 食事は色々なものをまんべんなく摂りましょう、というのがボトムラインだと思います
資産のポートフォリオは分散させるのがオススメで、儲かりそうだからといってFXや仮想通貨に全額つぎ込んではいけないというのと似たような話です。健康に良さそうだからという理由で、特定の食品だけをたっぷり食べるのはオススメしません。美味しくて好きだから多めに食べてしまう、というのはある程度仕方がないと思います
まとめ:
今日のお話は完全に漫談ですが、余計な出費を抑えつつリスクを最小化するべく、サプリや健康食品はオススメしません。食事は色々なものをまんべんなく摂りましょう、というのがお伝えしたいことです。是非コンテンツをご自身の健康長寿にお役立てください!
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