内科医の3Dナカノです。今日は腎臓がまったく役割を果たさなくなった時に、何が問題でそれにどう対処するのか、というお話です
[慢性腎臓病CKDのお話の一覧]
腎臓病の診断と意義: 尿検査の解釈・慢性腎臓病の診断・重要性
腎臓病の注意点: 食事の注意点・生活の注意点
腎臓病の治療一般論: 血圧の治療・貧血の治療・カルシウム・リン
腎臓病の個別の治療: 腎臓が悪くなる特別な原因がある場合
腎代替療法: なぜ必要か ←この記事・賢い選び方
本日の結論:
腎代替療法は腎臓が役割を果たさなくなった時の、代わりの治療です
主な自覚症状は、疲労感・不快感・軽いものわすれ・吐き気・食欲不振など
カリウム(K)・水分・酸などの指標が悪い場合に、多くの場合ドクターストップがかかります
血液透析・腹膜透析・腎移植が治療の選択肢です
事前の準備が肝要なので、CKD ステージ5(GFR 15未満)に近づいたら、ご本人・ご家族・医療従事者の間で相談することがとても重要です
言葉の解説をします
腎代替療法とは、
腎臓が役割を果たさなくなった時の、代わりの治療です
- 血液透析 (いわゆる透析)
- 腹膜透析
- 腎移植
の3種類があります (詳細は次回扱います)
腎代替療法の検討が必要な状況は、
通常の場合CKD ステージ5(GFR 15未満)です
自覚症状としては、疲労感・不快感・軽いものわすれ・吐き気・食欲不振などが主に現れます
医療側からは、余剰のカリウム(K)・余剰の水分(溢水)・余剰の酸(代謝性アシドーシス)の調整がつかない場合に、命に関わると判断されます(厳密に言えばもう少しありますが…以下略)
自覚症状が辛くて何らかの治療を希望される方が多いですが、治療をしないというのも選択肢の一つで、尊重されるべきだと考えられています
余剰のカリウム(K)は、
心臓の電気活動に悪影響を及ぼし、ときには突然死を引き起こします
食事や内服などで血清カリウム値が6未満を保てない場合に、ドクターストップがかかりがちです
余剰の水分は、
血管の中にある水分は高血圧を、
血管の外に水分が漏れるとむくみをひきおこします
血圧やむくみが薬で調整がつかなくなると、ドクターストップがかかりがちです
余剰の酸(代謝性アシドーシス)は、
体中の酵素や細胞が効率的に働ける環境を害するので
動脈採血で測定できるpHや重炭酸イオン(HCO3–)で、ドクターストップがかかりがちです
ややマニアックですが、尿から酸が出せなくなると、血液が酸性に傾きます。ひとの体は血液を中性に戻すべく、無意識に深呼吸をすることで二酸化炭素を減らそうとします。その結果、二酸化炭素が水に溶けた姿である重炭酸イオンが減ります
腎代替療法はどれも下準備が必要なので、
早いうちにどの方法を採用するつもりなのか、ご本人・ご家族・医療従事者の間で相談することがとても重要です。例えば血液透析の事前の準備として2~4週前に血管の手術が必要ですし、腹膜透析では腹膜透析用のカテーテル(チューブ)をおなかに埋め込む手術をする必要があります。腎移植ではご本人と臓器提供者の、感染症・がん・白血球の血液型・心肺機能などの精密検査が必要で、即断即実行とは到底いきません。じっくり考えてよくご相談頂く必要もあるはずなので、「もう命が危ないです!はい、入院して透析しましょう!」というようなことは避けるべきだと思います
まとめ:
さて、腎臓が役割を終えたときに何が起きるのかというお話を今日はしました。もちろんここに至るまでに予防や治療をすることが大事なのですが、事前に準備すればご本人とご家族が納得いく治療を受けられる可能性が高くなるはずです。是非かかりつけの腎臓内科のチームの皆さんと早めにご相談の機会をもうけてください。是非コンテンツを健康長寿にお役立てください!
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